トリップ


シュンリ。キャプテンが漫画喫茶に出かける前に、間違い電話で話した少女である。
彼女と言う確信は無いが、可能性はある。
キャプテンの問いに一度首を傾げたが、少女は自分のことと理解したのか、大きくうなづいた。
彼女がシュンリと分かって、キャプテンは喜ぶと同時に思う。

(こんなことやったら、中国語辞典持って来ればよかった・・・。)

「ごめん、うち中国語・・・」
「ダイジョブ。私ガ日本語辞典使イマス。」
「ああ・・・どうも。」

シュンリはキャプテンの話した言葉を早速調べ始める。
さすがに何度も調べさせるのも億劫だと思い、キャプテンもできることならゆっくり話してやろうと決める。

「そいえば、シュンリちゃん何歳やったっけ?」
「・・・16歳。」
「親とかはおる?」
「・・・親ハ折レナイワヨ。」

ここでキャプテンはしまったと思った。
「おる」と言うのは岐阜の辺りでは「居ますか?」という意味なのだが、シュンリにはそれが「折る」と聞こえたのだろう。

「えー、と・・・親って居る?」

今度は理解できたようだが、シュンリから返ってきた言葉は

「イマセン。」

の、一言だった。