トリップ


こちらが「いい」と言った事が分かったのか、彼女が話し出した。

「私は檜(カイ)春李(シュンリ)。あなたは?」

(日本語で表してあるが)中国語だ。
外国語はキャプテンの大の苦手分野だが、中国語なら小説の題材に勉強した事があり、少しのことなら分かった。

「ああ・・・うちは、キャプテン。」

幸いにも近くに中国語の本が置いてあったため、それを見て文法に気をつけながら中国語で話す。

「キャプテン?・・・面白い名前。」
「あはは・・・どうも・・・。」
「所で用は?」
「あー・・・ちょっと間違い電話してまって・・・ごめん。」
「・・・そう、気をつけてね。」

それだけ言うと、シュンリと名乗った少女は電話を切ってしまった。
普通は間違い電話で自己紹介にまでは至らないのだが。

先ほどの会話を思い出し、面白い子だったなと苦笑すると、暇を潰そうと漫画喫茶に向かった。

そこしか行ける所は無かったからだ。