「野菜炒めでもしよっかなー?」
「シンプルやなおい。」
「文句言うんやったら兄貴も手伝いやーよ。」
「はいはい。」

料理の苦手なシンゴは、手伝いならと言う顔で立ち上がる。
野菜を切っていると、シンゴはまじまじとキャプテンを見た。
目線が自分の胸元に来ていると気付いたキャプテンは、しかめっ面でシンゴを見る。

「何見とんの。」
「いや・・・お前ってホント貧乳ってか・・・襲っても意味無さそうってか・・・」
「うるせぇておんどりゃー」

そう言うキャプテンを「まぁまぁ」となだめる。
許したのかさほど気にも留めなかったのか、キャプテンはすぐに油で野菜を炒める。
じゅっと、聞き心地の良い弾けるような音が台所に響く。
炒め始めた時が一番良い音がする。
上から胡椒を降りかけると、シンゴが箸でタマネギを摘む。

「おいって!」
「なんだよ。」
「つまみ食いすんなて。スタイル悪くなるぞ。」
「お前ほどごっつくなけりゃいいし。」
「うちは空手習っとったから体がゴツイだけやっちゅーの!」

これは本当だった。
本質からしても弱いキャプテンだが、一応武術は習得していた。
使わない理由は、単に仕返しが怖いだけだ。