奇声を上げて走っていると、開いていたノートの間からある一文字が見えた。
『ケイラ…18歳の殺し屋。絶対的身体能力の持ち主。』
(あら、18歳だったの。チビやなー・・・。)
ついそう思ってしまうが、「18歳の」の次の言葉に、キャプテンは仰天した。
(こ・ろ・し・や・だと!?)
道理でナイフを持っているわけだ。
この調子で行くと、捕まったら絶対に殺される。
自分が殺されることを妄想しながら、キャプテンは後ろを見る。すると、ケイラは走るのではなく壁と壁の間を縫うようにして跳びながらこちらに向かってくる。
漫画ではよく見る光景だが、現実ではありえない。
ここでキャプテンは「絶対的身体能力」と言う言葉を思い出す。
もしこれも現実化したならば、ケイラがあのような事ができても無理は無い。
絶対的の意味も忘れてしまったが、何か凄い事に間違いは無いだろう。
キャプテンは一生懸命に走ったが、武道と国語しか取り得が無い上、持久力が無い自分と、絶対的身体能力を持った殺し屋とでは、どちらが速いかなんてたかが知れている。
すぐに追いつかれ、壁の脇に追い込まれる。
諦めの速いキャプテンは、この地点で命すら諦めていた。


