トリップ


「先輩、今の「い・・・」ってどういうことですか?」
「・・・気にしないでくれ。」

何か知られたくない事でもあるのか、リクはそわそわしながら目をそらした。
エリカもそれ以上はまずいと思ったのか、「やっぱりいいです。」と、話を終わらせる。



再び町を歩き出したが、妙に後ろから視線を感じた。

「・・・先輩、そんなわざと気付かせるみたいに付いて来んといてください。」
「・・・気付いてたのか。」

取ってつけたような台詞だ。
心にも無いことを言わんといてくださいよ、とエリカはひそかに思う。

「また、殺し屋関連の事ですか?」
「それ以外に、俺が君についてくる理由はないだろう。」
「・・・失礼な台詞ですね。」

ムッとして言うと、エリカは再び背を向けて歩き出した。
しかし、やはりリクは付いて来る。

まるで影のようにも思えた。体から切り離されてしまった、影だ。

「先輩・・・殺し屋なんてドコにもおらんし、そんなに気にする事じゃ・・・」
「だとしても危険だ。依頼に失敗したら俺が叱責を受けるんだから、君が傷付く事になったらこちら側としても非常に困る。」