トリップ


「もし・・・人間を支配できるような生き物が・・・この世界に出てきたら・・・どうなると思う?」

奇妙な質問に、ケイラは手の力が一瞬抜けた。
どう答えたら良いか分からない質問だったが、適当に答えてやった。

「支配された所で、どうにもならねぇだろ。」
「ハズレ。」

たしなめるような声で、キャプテンが言う。

「正解は、『今人間が犬や猫に対してしてるのと同じ事』やて。」
「意味わかんねぇよ。」
「やから、今人間が飼っとる、つまり支配しとるのと同じやろ。そのくせ都合悪くなったら殺す事さえ「仕方ない」で終わらせる。これを人間がやられてみ。人間がそいつらに都合悪いからって「仕方ない」で殺されていいか?嫌やろ」
「俺に言うなよ。」

落ち着いた言い方をしていたものの、なだめるような慌てた口調になっていた。
すると、キャプテンの目が悲しさなのか悔しさなのか、それとも怒りなのか、人間の本能で痛みが走った時に自然に出てしまうものなのか、次第に潤んできている。

(まさか・・・泣き目かよ)

そんな事で動揺する者などいるのだろうか。
死ぬのが嫌だと泣く者は何人も見てきたが、このような者は初めてだ。

―バカな奴。トカゲ1匹のことで、自分にとって怖い相手に喧嘩売るなんてよ。

呆れる気持ちもあり、なんとなく、希少価値のある動物を見つけた気分にもんる。

「・・・まあ、依頼人も死んだわけだし、動物園に届けるだけだから、シャケをどうしようが勝手でいいんじゃねえか?」

そう言ってやると、キャプテンの目から潤みが消えた。なんという切り替えの速さか。