「シャケー!どこ行くー!」

走っているシャケを追いかけ、キャプテンはやっとの思いで捕まえた。

「くそぅ・・・何で急に走るんやて・・・」

シャケを放さないように抱きかかえたその時、暗闇の中人の気配がした。きっとケイラだろうと思ったが、突然、鳩尾に痛みが走り、体重を乗せたパンチを食らったようになる。
シャケを持ったまま後ろに転がった。
のしかかるような鈍痛が腹に走り、胃が悲鳴をあげる。

キャプテンは息が詰まった。

息苦しさに耐えながら前を見ると、ケイラではなく、男の影が2つ見える。

「何だ、まだトカゲもってやがる。」

それを聞き、シャケの事だと言う事に気づき、恐れていた事態ということを悟った。
この2人は、シャケを狙う殺し屋(なのか?)だ。
しかし、いつものキャプテンなら逃げているところだが、何故か自分から相手にタックルして行った。
やられたらやり返さないと気が済まない面があるようで、殴る蹴るの大乱闘を起こした事は、小学生の頃はしょっちゅうだった。何でこういう時だけ自分らしく気が小さくならないのだろう、とキャプテンは攻撃した後で思う。

その悪い癖がここで出てしまったのだ。

相手が子供と油断していた相手は、すこしひるんだ所を見せ、懐から何やら取り出し、キャプテンに向かって振った。

シュッ、と空気を切る音がする。

さびた工場の床に、血が一滴二滴と落ちた。