その正体がケイラと分かったのは、彼の姿を見てからだった。耳にはシンプルな銀色のピアスが光っている。

「じゃ・・・じゃあ、頼んだぞ・・・」

男はせかすように2人を向かわせた。
まず動物園に行くには、電車で行く必要があるため、駅に向かう。駅に向かうまでの間、キャプテンは必死にケイラに話しかける。
友達と、言ったものの、全く打ち解けようとする様子が無かったからである。
しかし、実際の会話がこの感じであった。

「ケイラってさ、何で雇われたの!?」
「知るか。」

明るく話しかけても、いつも短いトークで終わる。

駅についても、ケイラはまだ沈黙のままだった。
これでは話そうにも話掛けられない。
沈黙の中、キャプテンはトカゲを撫で、ケイラは肩より下の長い髪を手ですいて時間を潰した。
電車が到着し、中に入っても沈黙が続く。電車を降りても沈黙が続いていた。
すると、ようやく話す気になったのか、ケイラが口を開く。

「・・・さっき知るかって言ったあの話題、あれ、お前がそのトカゲを無事に届けられるように警護しろって。」
「えぇ・・・?そんな危ない事に絡んどるの・・・?」

やっとの事で話題を見つけ、その事を話しながら、次第に打ち解けていった。とりあえず良かった、とキャプテンは半ばホッとする。