トリップ


「可愛くて友達多くて、なに不自由の無い人が、うちみたいなバカで根暗なのに関わるなんてバカらしい。皆思うよ?いいよな、何もしんくたって人気者で仲間が多い子は。うちとは大違い・・・」

涙が零れ落ちそうになる。優しく言ってくれてるのにそう言わなくてもいいだろ、と自分で思っているのに、酷い言葉が出る。
彼女はてっきり落ち込むと思ったが、無理矢理なのか気遣ったのか明るい顔になって「泣かんといて」とツトムの手を握る。

「キリダさん、やよね?」

ツトムが少しして小さくうなづくと、転校生はふふっ、と無邪気な笑みを浮かべた。

「キリちゃんって、呼んでいい?」
「え?」
「キリダ、やから。うちのことは、下の名前で呼んで」

ツトムは彼女の名札に目を向ける。それには「元島 愛理香」と書かれていた。

「モトジマ・・・エリカ?」
「うん」

一点の曇りも無い、晴れやかな空を見ているように思える。嘘か真か「うち、転校初日であんなこと言ってまったで、友達減るかもしれんし」と言いながら、何度もうなづく。

「うちの、友達になってくれる?」