「何・・・?」
「何しとんの?」
「何にもしとらんよ」
ばれないように、両手で小説用のノートを隠す。そんなツトムを見ている転校生に、首謀者の男子は笑いながら言う。
「そんな奴に話かけない方がいいよー。馬鹿がうつるし、根暗だし」
お前は黙ってろ。今度こそぶちまけてやろうと口を開いた時、転校生は少し憤ったような視線をその男子に向けた。
「バカで根暗な所の、何が悪いの?」
その言葉に、同文を期待していた者は皆唖然とした。首謀者の男子が言い淀む。
「え、だ、だって、嫌いじゃん。そういう奴が一番嫌われるっていうか・・・」
「バカだとか、根暗ってだけで、他のいいところは放置ってことにすんの?それとも、いいところが無いって?」
大人しそうな転校生がいきなりきつい口調で言ってきたので、言葉が出ない様子で男子は目を泳がせる。
「見せて」
転校生はツトムの小説のノートをもぎ取り、文章に目を向ける。
「あるやん」
ノートを持ったまま、転校生はさらに目を鋭くして、その視線をその場にいた全員に向ける。
「こんないい物語が書けるのに」
ドクン、と心臓が跳ねる。ショックではなく喜びが湧き上がるような感覚に陥りそうになった。


