トリップ


――いっつもそうだ。どうせそれが一番の理由なんだろ?偽善者がいい子ぶりやがって。

こんな台詞、携帯小説好きの女子に言ったら怒られるだろうな、と途中で思う。だが本当は違うと自分でも分かっていた。

そういうことが嫌いなのは、自分が守って欲しいから、嫉妬してしまうのだろう。自分でも自覚しているのが余計に悔しい。
誰かを守るということでも、傍にいてくれるならそうしたかった。

その考えを抱き続けて日常を過ごしていたツトムに、ある日、変わるきっかけとなる出来事が起きた。

転校生がクラスにやってきたのだ。髪の毛は長くも短くもなく、小柄で細身、顔も小さい割に目は大きいという、まさに「可愛い女の子」の典型的なタイプだった。

一番反応したのは男子達、一気に教室中でざわめき声がするのも、平凡な反応だな、とツトムは思った。

(ああいう奴なんやよな)

守られる人間って言うのは。ツトムは頬杖を付きたくなるのを我慢する。

何不自由の無さそうな外見、放っておくわけもなく休み時間となれば男子も群がっていた。

そんな休み時間を、ツトムはいつも通りに淋しく過ごそうと考えていた。すると、急にその転校生が歩み寄り、ツトムに話しかける。

「ねぇ」

綺麗な声で聞いてくる。無視しようとしたが、生まれてこの方の小心者、全員から嫌われることはさすがに避けたかった。