「爆発させてからだ」
「エッ!?」

思わず声を上げる。

何で爆発させてからなのよ。

私は不意にそのときの様子を思い浮かべる。

爆風と共に襲い来る炎、破壊される病院、逃げまとう患者達、泣く間もなく、もしくは泣きながら死んでいく赤子達、その中、1人だけ異色を漂わす、頭の狂った殺人犯。

私は〔こんな仕事をしているにもかかわらず〕、頭がくらっとし、倒れこみそうになる。

「思ッタンダケド、ソレッテ、自爆テロナノ?」
「いや、そいつだけは外に逃げる。病院の裏にあるイチョウ並木に出るから、お前はその手前の小ビルから標的を撃て」
「ソノ前ニ殺スノハダメナノ?」
「やめておけ。奴が立てこもりをすれば、すぐに警察も来る。そこで殺したら、こっちの身も危険だ」

私は歯を食いしばる。仲介業者は「分かってくれ」と言うように、考え込むように眉をひそめる。

「・・・分カッタ」

それだけ言って仲介業者の事務所を出ようとした時、彼は「絶対的命中率」と、私の持つ能力の名前を口にした。

「お前が射抜けないものは無い」
「アッソウ」
「お前、『水滸伝』に出てくる小李広花栄の生まれ変わりかもな」

それって、梁山泊の?きっとそうだろう。千里先の髪の毛を2つに裂くと言われた、射的、弓矢の名手だ。

私は何も返さずに、その場から去る。