エリカは耳を壁につけて会話を聞き取ろうとする。窓も部分からは、ベットの上に2人が並んで話している姿が見えた。
「ふぅん、あの子を連れてくるなって言ったのに、あたしらが連れてきた事がそんなに気に食わない?」
「気に食わないというよりも、ダメなんだ。連れてきたら」
「危ないから」
「そう」
一度うなづいた後で、また「そう、その通りだ」と繰り返しうなづく。
「あんたが「来るな」っていったのも、あれはあたしらじゃなくてあの女の子だけに言ったんでしょ?実は」
「・・・ああそうだ。秋乃たちだけなら、むしろ来て欲しい所だったんだ」
「だろうね。今までこんな事無かったもん」
「話を戻すが、何でモトジマを連れてきた」
「そんなの、付いてくって言うから連れてきたのよ」
「強制的に追い払えばよかったろ」
「そうしようとしたけど、何て言うんだろ・・・説得させられちゃったんだよね」
「説得?」
リクがキョトンとして首を傾げる。「屁理屈な性格の秋乃が説得に応じたのか?」とそのほうが納得いかなさそうな顔をする。
「めちゃくちゃな理由なんだけど、なんだか、惹きつけられるというか、あたしらなら分かる気がしたんだよね」
「俺達なら分かる説得?」
「説得というより、あれは長年溜め込んでた思いを自分で一気に放出したのかな」
柔らかく微笑むと「無意識だろうけど、泣いてたし」と付け足す。
「なんて言ってたんだ」
相当知りたいらしいのか、普段何を聞かせても「ふぅん、すごいな」しか言わない彼がこんなにも関心意欲を剥き出しているので、秋乃は不思議に思う。


