トリップ


助けてくれているのに、どうして裏ではあだで返されなければいけないのか。

武力行使で助けるのもあまりよくないが、思いやりの微塵も欠片も無い言葉にがっかりする。涙が出て来そうになった。あの時のような気分だ。

自分が当時思ったことと似たようなことを、思う。

『バカで根暗なところの、何が悪いの?』

ほんの少しでも良心があっても、化け物なの?

『こんなにいい物語が書けるのに』

たまにだけど、優しい所だってあるのに。

『それだけで、バカってだけで認められないなんて、おかしいって』

住む世界が違うだけで後は見てもらえないなんて、おかしいって。

「分かったら関わらない事。いい?」

それだけ言うと、教師はすぐさま職員室に入って行った。エリカはそのまま早歩きしだし、トイレに駆け込むと手の内で右目を覆った。

悔しい。あの時と同じだ。

違うってハッキリ言いたいのに、言えない。間違ってるのに、言えない。あの時と全く変わっていなかった。

思いは貫けるのに、他人に伝えることが出来ないのが、エリカには悔しく、そして辛かった。何も言えないまま、他人に言いたい放題されている事に、自分で憤りを覚える。

「・・・はぁ・・・」

トイレの個室で、自分の虚しいまでの吐息と、零れ落ちるような感情が一気に噴き出す。零れたのは、不満の気持ちだった。