「先生・・・」
「何してるの」
エリカは慌てて拾った紙を鞄にしまう。「い、いえ」と言いながら、なんでもないです、覗いてただけなんです、と言う目で訴えた。
その行動で伝わるはずも無く、教師は首をかしげ、次にエリカが図星になるような言葉をかけた。
「駒南君を・・・探しに来たの?」
「え」
言葉を詰まらせる。そのようなことを聞かれて素直に「そうですよ、図星です。よく分かりましたね。テレパシーですか?」と言えるわけも無い。
とりあえずとぼける事にして、エリカは目を丸めるような表情を作る。
「なんで・・・先輩が出てきますか?うちはただ、あの日オーディションの時に事務所っぽい所の人と一緒にいた子に用があって・・・」
「・・・じゃあ、それは誰?」
それは、とエリカは返答に困る。行き当たりばったりで思いついた言葉なので、後のことなど考えていなかった。
「どこの事務所に居るかは内密にされてるし、その上まだあなたはどことも契約してないし、誰かは分からないはずよ」
「ううっ・・・」
「・・・やっぱり、彼を探しに来たのね」
「・・・そうです」
そう言ってやると、教師は溜め息をついた。
「彼のことはもう話したでしょう。怖がって近寄らないかと思ってたのに、何でそうも関わろうとするの?」
人と関わることの、何がいけないんですか?分かりません、とエリカは心の中で思う。
好きというだけで関わっているんじゃない、話せる人ならば誰にでもそう接して、関わって来たからこそ、それを貫きたかったのだ。


