男が倒れたのを見ると、俺は「ヒッ」と声がしたほうを見る。
あのサラリーマン風の男だった。
顔にかかった血を舐め取り、プッと横に吐く。男は震える声で言う。
「お前・・・これ、1人で・・・」
今まで2番目くらいに殺意を込めて見てやると、男は真っ青になって去って行った。
「覚えてろよ・・・化け物め!」
追いかけようとするが、その前に倒れこむ。体の異変もあって、自由が利かない状態だった。
――化け物、か――
よく言われる言葉を俺は無意識に呟いていた。心が無い事に加え、あまり負けたことが
無かったからそう言われるのか。
そうだとしたら仕方ないのかもしれない、と俺は思う。意識が朦朧とする中、何故かポケットに手を突っ込み、あのお守りを握り締めていた。
『これからお前はリクだ。な。檜 天李』
天よりも、陸のほうがいいかもしれない。
土岐の言葉を思い出して、ふと笑う。


