携帯電話からは何も聞こえない。電話の向こうで3人がどんな顔をしているのかが目に浮かぶ。きっと呆然としているだろう。
男は眉をしかめて懐に手を伸ばす。
「いきなり怒鳴りやがって・・・無口に見えたのに、うるせぇんだよ」
いや、本来は無口なんだ、と俺は言いたくなるが、首を絞められていて何も言えない。首を絞めている片手と、もう片方の手にはいつの間にか、小型ナイフが握られていた。
そして、それを俺の右腕にゆっくりと捻じ込むようにして刺す。鈍痛と激痛が同時に襲ってくる。このままゆっくりとなぶり殺しにする気らしい。
グリグリと穴を開けられているような気分だ。
「ぐ・・・ぁ・・・っ」
痛い目に遭うことなんて何度もあった。それで大抵は慣れている俺でも声を上げてしまうくらいの痛みだった。
男は快感を感じているように笑う。
「なんだ、それだけか。さっきみたいに悲鳴を上げてみろよ」
顔をグッと近づけて男は俺をあざ笑う。バカにされることが大嫌いな俺が、今無抵抗に笑われていることに腹が立った。
「丁度いい。お前守り屋って紅涙にも配属してるんだってな。お前もそこにいたなら・・・」
何を言うつもりだ。警戒をしていた俺に、男はとある一言を吹きかける。
「お前が守ってた奴も殺してやるよ」
ドクンッ
一瞬、心臓が大きく跳ねて意識が吹き飛んだ。土岐の死体を眺めたあの瞬間と同じだった。


