トリップ


「・・・はい!」

威勢よく答えると、俺は「それでいい」と言ってやり、電話を切ろうとして敵のことなど頭から消えていた。そのせいだろうか。

自分の横をかすった銃弾に気付けなかった。セーフと思った途端、あの大きいほうの男に押し倒され、身動きが取れない状態になった。いつもなら弾き返しているが、相手はただでさえ背が高い俺よりも大きい。体重もあったらしく跳ね除けられなかった。

「こんな所で仲間と連絡か?ガキ」
「うる・・・さいっ」

勝手にかけてきたんだ、と俺は男を睨みつける。
何か言ってきたら言い返すつもりであったが、そのまま男が俺の首に指を食い込ませてきた。挙句の果てに、鳩尾辺りにずっしりと思い膝を乗せてきているので呼吸しづらい。

「リクさん?・・・リクさんっ!」
「ちょっと、どうしたのよ!」

電源を切っていない携帯から秋乃やジュマの声が聞こえてくる。どうしたって、攻撃されてるんだ。
反撃の術を探しているからこれ以上声をかけないでほしくなる。

「先輩・・・!!」

ついにモトジマまで声をかけてきた。本当にやめてくれ、と俺は懇願したくなってくる。今この状況がばれれば、心配性なモトジマは絶対に来てしまう。
それだけは避けなくてはならない。

「今、そっちに・・・」

ホラ来た。首を絞められているにもかかわらず、俺は今までで一番大きい自信を持って思い切り声を出した。

「来るな!!!」

あ、凄く大きい声だ。
俺は自分でもそう思えるくらい、大声で怒鳴ったらしい。