路地と言うのは都会ならではの灰色のオーラを感じる。
暗い路地の中で、異様な臭いが鼻を突いた。
鉄臭く、鼻を通って脳を刺激する、しかし鉄ともいえない独特の臭い。
鉄に似た生臭いこの臭いが何なのか、エリカはすぐに理解した。
血の臭いだ。
血ではないと自分に言い聞かせたが、それでも本能的にその臭いの方向を向いてしまう。これは一つの好奇心なのか、怖いもの見たさなのか。
壁の右側に沿って歩いていると、少しして目の前に人の姿が映る。
やはりリクだった。
きっとへんな実験でもしていたのだろう。
ホッとしてその左側の壁に目をやった時、エリカは凍りついた。「あ゛っ・・・」と声を上げそうになる。
黒い液体が広がり、その液体は先ほどの独特の臭いを出し、左の壁に横たわっていた40代ほどの男の右胸から流れ出ていた。
(まさか・・・)
エリカがリクを見る。
彼の持っていたものは、その液体の付いた短刀だった。
ギロリと睨まれるような鋭い視線と瞳は、まだ男を見つめている。


