「うーん・・・。そう言われても、その当時の素行によるし・・・。ヤンキーとかやと、そりゃ嫌われても・・・」
「そうなのかな・・・?」

自分の記憶を蘇らせ、ケイラは顎に手を当てる。足が止まった間に、キャプテンは再び寺のほうを振り返る。

「どうしたんだよ、また・・・」
「いや、あのおっさん、ホントに逃げたんかなー・・・って」

ケイラは口をつぐむ。小久保の言う通りに嘘を付いたものの、やはり表情に出ていたらしい。

「・・・ああ、逃げた」
「そっか・・・。なら、ある意味良かった」
「何でだよ」
「あの人さ、うん。悪そうやけど、いい人やったで、矛盾し取ると思うけど、どっちが死んでも罪悪感湧くというか・・・」
「身の上話を聞いたとか・・・か?」
「うん、それみたいなの」

ケイラの頭に、彼の言葉が蘇る。『馬鹿なんだか、感慨深いんだか』という言葉の『感慨深い』という単語がよぎる。

キャプテンは何度も首を横に振ると、前を向いて歩き出した。

「そうなら・・・いいか」

キャプテンは笑っているつもりだったが、何故だろうか、苦笑になっていたことが自分でも分かった。