トリップ


「血まみれで倒れる一般人なんているかっての」
「おるんじゃない?追いはぎとか」

そう言うと、小久保は呆れて頭をかいた。

「で、戻すけどよ、お前が何で捕まったか分かってんのか?」
「うーん、漫画のパターンで言えば『人質』とか『おびき寄せるための餌』とか?」
「正解だ」
「じゃ、正解したお礼に、逃がしてくれる?」
「ばーか、報酬はねぇよ」
「何やて、どケチ。飴玉の1個ぐらいくれてもいいやん」
「悪いがなにも持ち合わせてねぇんだよ。つうか、捕まったのに何て呑気な野郎だ」
「そうでないと落ち着かんもん」

というより、性格だから、とキャプテンは内側で付け足す。

「で、うちにケイラをおびき寄せろっての?」
「ああそうだ」
「なにぃ・・・電話するだけやん。『あなたに会いたいの。今すぐここまで来て♪』ってさ」
「俺が言っても来ねぇだろ」
「そっか。自分の気持ちを伝えるって、案外難しいでね」
「おい、さっきから勘違いで喋ってんじゃねぇぞ」
「分かった分かった」

電話しますよ。手の縄だけ解いてもらい、携帯を開き、ボタンに触れようとした途中、いったん指をとめて言う。

「これって・・・うちが電話したら、来るかな?」
「来るだろ」
「来たらまた殺し合い?」
「当たり前だろ」
「ふぅん・・・じゃ、電話しんとこっと」
「おい、そんなことしたら殺すぞ」