「ばっ・・・バカっ、てめっ・・・何言って」
「腕を掴まれたーー!!」
「お前っ・・・さっきのは嘘か・・・!」
「おっさん誰?うちをどうするの?」
わざとらしくならないように、そして周囲の同情を誘うために涙声を作って訴える。
「なにあれ」
「やだっ、女の子?」
「おい、誰か交番」
ヒソヒソと断片的な言葉が聞こえてきて、キャプテンは内心ホッとする。少しばかり見てみぬフリをされるのではないかと心配していた。
小久保をヒーロー漫画に出てくる悪役と勘違いしているのか、小学生くらいの子供たちが小走りして取り囲んでくる。
「その子を離せー」
「よぉし、やっつけろー!」
小久保にとっては小学生を蹴散らすなど簡単と思えたが、親がいたせいか、それとも別の理由があったせいか、悔しそうな顔をしつつ抵抗しない。
「こらっ、なにしてる!」
ゲッ、と言いたそうな顔で小久保が目を開いた。走ってきた若い警察官は素早く小久保の腕を掴む。良かった、計算道理に行った、とキャプテンは安心する。
掴まれた腕を解いてもらうと、キャプテンは深々と頭を下げて、さっさとその場を去って行った。
「うちの必殺『罪を大きく仕立て上げる攻撃』、うまくいったな」
人間の同情って怖い、と自分でそう思う。


