もう思い切って捕まってしまおうか、そう思いかけた時、人を呼ぶ声がした。
「オマワリサン!コッチコッチ!」
キャプテンは、その聞き覚えのある片言のしたほうに顔を向けた。小久保もビックリして振り向く。
小久保が舌打ちをして、いったんその場を退くように人ごみの中に消えて行った。先ほどの声がした方を向くと、黒髪の少女が「早く行って」と呼びかけるように手の先を上下させる。
(シュンリちゃん・・・)
ありがとう、と口をパクパクさせると、シュンリは拳を握って親指を突き出した。
―
(シュンリちゃんが助けてくれたんやし・・・絶対逃げ延びる!)
そう思いながらデパートの中を全力疾走する。しかし、小久保が追跡をやめる気配はなかった。デパートを出てからも、自転車で色々な店に入っては逃げて、逃げて逃げまくった。
コンビニ、銀行、スーパー、図書館、CDショップ、そして駄菓子屋にも!(何故交番に逃げ込まないのか?)
「おい!待て!」
「うわー!怖いよ怖いよー!」
捕まってなるものか、とキャプテンは一心不乱に走る。走っていると、キャプテンはふとホラー映画の宣伝を目にする。
いや、幽霊よりもこっちのほうが怖いよ、そう思いかけ、キャプテンはあることを思い出した。幽霊と「取り憑く」という言葉でハッとする。
(幽体離脱・・・、そうや!)
鳴らすことが出来ない指を弾いて、鳴らすような素振りをする。


