トリップ


「何ゆえに遅れたの?」
「いや、寝坊」
「寝坊って・・・何時頃に寝たの」

そしてどれだけ睡眠時間が長いのだ。キャプテンはそう聞きたくなる。

「ま、いっか」

祭りが終わったわけじゃないし、とまだある人だかりを眺めながら思う。

「早く行こうぜ」

ケイラが手を引いてくる。途中、人ごみの中でエリカの姿を見かける。
背の高い浴衣の男と一緒だった。

「え゛・・・?」

誰だあいつは、キャプテンは手を引かれながらそう思う。すると、昨日のことを思い出してハッとした。

まさか、エリカは彼と約束していて、自分に気を遣って前半一緒にいてくれたのか?

その姿は一瞬で、後は人だかりで見えなくなっていった。