そのせいか、余計に胸が高鳴り、鼓動がスピードを増す。
―久々に笑ったっぽい・・・。
ジッと見ていられなくなり、ついつい顔を横に振ってしまう。
すると、まじまじとエリカの顔を見ると、リクはハッとしたようにいつもの鋭い目つきに戻った。いや、無理矢理に戻した、と言った方が正しいのかもしれない。
祭りの方に向かっていくと、途中キャプテンを見かけた。隣に同じ背丈くらいの少年がいる。何となく、幼い面が見られた。
エリカは慌ててリクの手を引っ張り、人ごみに紛れる。またキャプテンに見られると「うちよりもそいつを選んだのかい」とお笑い混じりの泣き声を上げるだろう。
彼女が変人と見られないためにも、自分が目立たないためにも、ひっそりとしていく事にした。
クレープの辺りにより、買うかとリクに聞いてみるが、彼は甘いものが苦手らしく、ひどく拒絶する。


