「何考えてたんだ」
「いや、そうやったらうちも拒否られるようやなー・・・っと。そう思ってました」
なるべく元気はつらつとした、何とも思っていない表情を演じるが、リクには見透かされていたらしく「心配するな」と撫でるような口調で言う。
「少なくとも君は、拒否しない」
「はい・・・?」
「他の奴らとは違うというか、嫌な奴ではない」
自分の父よりも拳1つ分も大きいリクは、その見上げるほどの高さから話す。
「むしろ・・・」
「むしろ?」
「良かった方・・・だな、うん」
恥ずかしいのか、困ったような顔でリクが初めて唇を歪めた。笑っている。
その笑みを見ていると、縄を解かれたような開放感が感じられた。まるで、彼が長い間心底からの笑顔を封じ込めてきたかのように思える。


