何故引っ越す事を前もって言ってくれないのか。

悪態をつく代わりに、軽く壁を蹴る。

「うちは、このマンションで隣同士やから来たんやけど・・・。」

それを聞いて、キャプテンは脳内の本棚に情報を整理する。

「ちょっと待てよ・・・。引っ越したってことは・・・荷物は全部運び出したと・・・。」

「そうなんやない・・・?」

その肯定文を聞いて、キャプテンは白目をむいた。
自分お部屋に駆け込み、急いで手当たり次第に本棚をあさる。
というのも、キャプテンは小説創作が大好きで、よくノートに書いているのだが・・・それが捨てられたら生きた心地がしない。

棚の引き出しを開けると、作品は全部あってホッとする。
しかし、その中に「トリップ」が無い事に気付いた。

「トトト・・・トリップが無いッ!」

キャプテンが創ったその作品は、一つの完成作なのだ。
「ど・・・どうする・・・!?せっかく完成しとったのに・・・」

そうやって辺りを探し回っていると、頭の上に一冊のノートが落ちてきた。

・・・え?落ちてきた?