トリップ


「キリちゃん、どうした?」
「・・・もうすぐ来るって奴、来れんってさ」
「えぇ?なにゆえ?」
「・・・分からんけど、祭りの後半まで遅れるってさ」
「あら・・・」

エリカもポカンとしたまま口に出す。キャプテンは小石を軽く蹴りながら携帯を閉じると、深く息を吐いた。

「もうええ」
「え?いいの?」
「もう知らん。前半はもう2人で楽しみまくったれ」

やけくそになったような口調で言うと、キャプテンはすぐ「冗談」というかのように笑い、エリカの手を引いた。