「面白い・・・?」

1歩近づけた、と思ったらしく、キャプテンは「よし公認!」と言った。独り言を聞かれたのに気付いたのか、ケイラはすかさず「おい待て」とキャプテンの肩を掴む。

「勝手に公認してんじゃねぇぞ」
「もう決まっちゃいました。残念やけど」
「ホントに残念だよ、マジで残念だ」

こういうときのケイラの顔は、案外普通の男子と変わらぬように思えた。

「お前、これで何かしようとしたら刺し殺すからな、本気で」

警告するような口調にも、照れているような口調にも聞こえた。彼にとってはこのやり取りはうまれて初めてのように思える。

これでも、君は寂しいか?

心の中で、キャプテンはケイラに聞いてみた。

・・・ケイラSide・・・

なんだったんだよ、あいつ。

俺は逃げるようにその場を去り、物影に隠れた。痛いところを突きやがって、と悪態をつきそうになった。

たまたま興味本位で、それも兼ねてこのことを外に漏らさぬようにと、警告も加えて尾行してきたのに、このザマである。

何故付いてくるのかと言う質問にあやふやな答えを出した結果か、と頭を抱える。

-でも、やっぱり面白い奴だったな、あいつ。

普通の人間とは少し違うのかもしれない、と思った。

それでも、どこか信用できない自分がいて、それはきっと2年前のことが頭に残っているのだ、と思う。

馬鹿だな、俺は。

俺は自分自身をなじった。行動する前は何も考えないくせに、後になって後悔する。いつもだ。

標的を殺す前は罪悪感など微塵もなかったのに、殺してから罪悪感を感じる。それは、誰にも救うことができない、死のループだ。


しかし今日は少し違ったようにも思えた。ずっと彷徨っていた樹海で、案内人を見つけた気分になる。