シンゴの言葉に返事を返さず、キャプテンは部屋を出る。
第二公園は少ししか行った事はないが、大好きな漫画喫茶の近くなので道は分からない事はない。
シュンリは、きっと分かりやすい場所を選んでくれたのだろうと思い、キャプテンは1人で感動する。

(シュンリちゃん・・・恩に着る。)

そんな自分が鼻水を垂らしていた事には、第二公園につく直前に分かった。

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「キャプテン」

夏だと言うのにニット帽を深く被ったシュンリが、こちらを向く。

「おはよ。」
「オハヨウ。」

無造作に伸ばした黒髪が、ニット帽からはみ出している事にシュンリは気付いていないらしく、そのままになっている。

「ところで、話したいことって?」

そう言ったキャプテンに、一瞬だけ数日前の発砲未遂事件のことが蘇る。もしやあの男についてではないのだろうか。
しかし、シュンリの出す話題に、キャプテンはそれ以上に言葉が詰まった。

「私ガ狙撃手ダッテコト、キャプテン知ッテル?」

バクンッ!

まさにそんな感じの効果音が キャプテンの中に響く。気まずくさせまいと内緒にしていたのだが、気付かれてしまったらしい。