途中、リクは急にあの殺し屋が気になり、振り向いて見た。二人ともほぼ同じ位置に倒れ、血が流れ出ている。
自分のせいだ。
そう思ったことは今までにも何度かあったが、その度に何とかその思いを振り払う。
倉庫を出て、鍵を閉めてから再び道を歩くと、無性にに服屋を見てしまう。軽く見渡すと、リクは自分を「馬鹿か」と叱り付けた。
(アイツが、待ってくれているわけないだろ。)
今まで見てきた人間は、いつもそうだったもの。その中で、本気でがっかりしていた自分が不思議に思えた。人などいてもいなくてもリクにとってはどちらも同じなはずなのだ。
人が近くにいなくて寂しくなるのは、5年ぶりだった。
(まぁいい…な。)
そう決めたものの、必ず5歩おきに振り向く。こんなに諦めの悪い自分は初めてだとリクは思った。待ってくれとも言われていないのに、待つはずなどないだろうに。
すると、次振り向いた時にはエリカの姿があった。まさか、と目を疑うが、間違いなくエリカだ。
「あ、先輩!やっと出てきた!」
「まさか、待ってたのか?」
「うん」
嬉しい気もしたが、それなりに嬉しくない気もあった。エリカに関しての依頼の期間の事を考えれば、むしろ会わない方がよかったかも知れない。
「さっきは服屋にいなかったじゃないか。」
「ちょっとね。美喜ちゃんの誕生日が近いらしいで、何か買ったろうと思ったんやけど、良いもの無かったで。」
すまない、その本人はもう自分の誕生日も忘れているだろう。
リクはそう思う。自分はその友達のせいで危うく殺されかけたというのに、それを知らずに贈り物を買おうとしてやれるエリカが、リクには純粋に見える。


