トリップ


マジかよ。
ケイラはそう思った。

こんな地味でスタイルもイマイチ、性格でさえ良いとは言えないキャプテン。自分はこんな人間のどこに惹かれたんだ。
自分でも首を傾げたくなるほど、ケイラには信じがたいことだ。
寝転がりながらそんな事を考えていると、キャプテンが手を差し延べて来た。

「大丈夫?立てへんの?」
「立てる。」

まともにキャプテンの顔が見れず、目を逸らしながら立ち上がる。

「よかった、うちの体重で踏み潰してまったんかと思ったし。」
「ふざけた冗談はよせよ」
「ははは」

頭を無造作に掻いているキャプテンを見て、ケイラは「ああ、そうか」と納得いったようにうなづく。

一般人にとって、こうして親しくしてくれる素振りは普通だが、ケイラたちにとっては、人から忌み嫌われた者達にとっては本当に理想だ。それは殺し屋に限らず、守り屋も同じだろう。
そんな関係は邪魔と考える者もいるが、勿論、人の心が残っている者には相当かけがえのないものである。

その気持ちがいつか、ケイラの中では恋心に変わったのだろう。

「なぁ、キャプテン」
「はい?」
「お前って、その…彼氏とかいるのか?」

いきなりケイラがそんなことを聞いてきたので、キャプテンは先程倒れたことで頭がおかしくなったのかとも考える。
しかし、ケイラが正気だということはすぐに分かった。

「おらんよ。作った事もないし、第一、おっても意味ないもん。」

何となく自分を否定されているようで、ケイラは少し胸が痛む。
すると、キャプテンが急に出口の方に体を向けた。

「ど、どこ行くんだよ」
「いや、買い物行ってくれって兄貴からメール来たでさ、ついでに行こうかな、と。」
「……なら、俺も行く!」
「おっ、頼もしい。そんなに沢山買い物もしいへんのやけど。」