トリップ


「くそ、顔が熱い。」
「え゛?ここクーラー万全なんやけど・・・」
「そういうことじゃねぇよ・・・」
「~・・・よく分からんなぁ。夏風邪?」

そう言ってキャプテンが立ち上がったその時、タイヤ式の椅子も動いてしまったせいなのか、バランスを崩して前に倒れた。
ケイラは一瞬驚いたが、すぐに支えようと腕を出した。が、助けるどころかケイラまでバランスを崩してしまい、一緒に床に倒れた。

「ぐは!」
「危ねぇ・・・」

ケイラは同時に受身をとったが、キャプテンは背を強く打ち、咳き込みそうになる。

「か・・・か・・・」
「おい、大丈夫かよ。」
「この状態・・・大丈夫じゃないんす・・・けど・・・」

キャプテンはそう言ったが、すぐに痛みも引いて行く。
すると、倒れた二人は自分たちが今どういう体勢をとっているかにやっと気付いた。
横に寝転ぶような形で、顔の距離が10センチほどしかない。状況を理解したキャプテンは白目を剥き、ケイラは顔を真っ赤にした。

「うぉぉぉ!?」
「ばっ、声でかい!」

完璧にパニック状態のキャプテンはすぐに起き上がったが、ケイラは心底惜しさを感じていた。

―あれぐらいの距離で、いつも話せればいいんだけどな・・・。

そんな事を考える。すると、ケイラの中にある言葉が出た。
まさかとは思うものの、これはもう自覚せざるを得ない。

―恋なのか・・・?これって。

彼氏の事でデレる坂見を思い出し、ケイラはそう思った。