これは幻覚かと疑ったが、現実だと言う事に喜びを噛み締める。
この後のあとの事について詳しく書かれた紙を持ってテレビ局を出ると、エリカは紙を見つめていた。

「どうした。」
「いや・・・あんまり実感あらへんと思って・・・」
「じゃあもう一度行くか?」
「!?・・・いいです・・・。」

エリカは何度も首を振った。
そして、そのあとに立ち止まると、リクに深々と礼をした。

「今日は・・・ってか、今までありがとうございます!」
「?何終わりみたいな事言っている。俺の仕事はまだ続いてるぞ。」
「・・・そうやけど、うち、いつも助けてもらってばっかで、お礼くらい言わんと・・・失礼やで。」
「・・・まぁ、好きにすればいい。」

相変わらず冷たい台詞を吐くと、別れる前にリクは言った。

「・・・だが、人を守って礼を言われたのは、コレが初めてだ。」

それだけ言うと、ものすごい勢いで彼は走って行った。
彼の頬が火照っているように見えたのは、気のせいだったのだろうか。こういうことが、人に例を言われることが嬉しかったのだろう。

「先輩は・・・淋しいんですか?」

彼がいなくなった後で、エリカはポツリと呟く。