「・・・髭ガ皿ノ中ニ入っテル。」
「ああー・・・シュンリちゃんにとってモヤシの第一印象は髭になっとるんか・・・。」
「ウン、白イ髭。」
確かにはじめて見る者にはそう見えるかもしれない。
もやしをまじまじと見ながら髭に例えてみる。
「さっ、食べよっか!腹減った!」
「減ッタ。」
繰り返すように言うと、ホイコーローを皿に盛り付ける。
口に含むと、昔好きだった中華料理店の味よりも少しニンニクの味が濃い。
「・・・ニンニク入れすぎた・・・。」
「ソウ?私ハ、オ母サンノ味ガスル。」
「え?そうやったの?そりゃよかった!」
そう言ったときのシュンリの顔が何とも優しそうで・・・それであって、どこか懐かしそうな顔になっていた。
そして、少しだけ悲しそうな顔になった。
「戻リタイ・・・」
彼女はそう呟いた。