「なぜなら・・・。俺が殺した奴は今の所、全員「罪の無い人間」じゃない」
「は・・・?」
「てめぇみたいに・・・」
―殺しを楽しんで、笑ってる奴らだ。
ナイフを横に振り、男の首を切り裂く。男は目を見開いたまま倒れた。血が飛ばない位置に移動してから、男を見据える。
こんな奴に殺されたガキが、哀れで仕方ないな、と俺は思う。
これで済ませて帰ろうと思ったその時だ。
「げっ・・・なんやこれ・・・」
関西弁か、と思いながら声のしたほうを見る。
センスの無い服装で、髪の毛をポニーテールにしていた。じっと見てみるが、男か女かが判別出来ないような容姿だ。
髪の毛が短髪なら、ほとんど男だろうと考えられたが、髪の毛が長いので、どちらか分からなくなる。
―まぁいいか、男で。
俺はそう思って、その男の前まで行く。
「なんだよ、見ちまったのか」
相手に恐怖心を植えつけるような言い方で言う。ポニーテールの男は、真っ青な顔で俺を見ている。それは恐怖だけでなく、驚愕にも見えた。
そして、驚きの言葉を口にする。
「ケイラ・・・っぽい」
こいつ、なんで俺の名前知ってんだよ。俺は思ったことと同じ言葉を口にしていた。
「なんで俺の名前知ってんだよ」
そう聞いてやると、男は何も言わない。そして、何か考え付いたような顔になると、いきなりこんな行動に出た。
「さてと・・・逃ぃぃげろぉぉ!」
なんだって?俺から逃げるの?こんなにも露骨に?
そう思っている間にも、相手は俺を突き飛ばし、遅い足で必死に逃げた。


