・・・ケイラSide・・・
「な、なんだよお前」
目の前にいる金髪の男は、俺に向かってうろたえた声で言ってくる。男の仲間らしき男たちの遺体を見てから、金髪の男に目をやる。
「なんだよって、お前を殺すんだって」
「なんの恨みがあるんだよ、俺はお前に会った事すら・・・」
「ねぇよ。けど、俺がお前にナイフをむける理由は1つ、依頼だからだ」
依頼内容を思い出す。わずか6歳の子供をこの男に殺され、さらにこの金髪男が証拠不十分で釈放された。これに怒った母親が、俺のいる事務所に依頼してきたのだ。
一応確かめるために1日だけこの男を尾行したが、ついさっき、つまり俺がこの男にナイフを向ける前に、この金髪男は、子供を殺した上に証拠不十分で釈放された事を武勇伝のように語り、笑っていた。
もう金髪男が犯人だと確定したので、俺は仕事に移り、今に至るわけだ。
「お前、6歳のガキを殺したんだってな。母親が怒ってたぜ?」
そう言ってやると、男は動揺してから「なんだよそれ」と言う。
―なんだよって、さっき仲間に話してたじゃねぇか。
「それなら、お前も同じ人殺しだろ、人を殺すんだぞ」
そう言ってきたが、俺は全く動揺しなかった。むしろ、この金髪男に対して憤りを覚える。
「あのな、俺も確かに人殺しだよ。なんたって、人を殺すことは重大なことなんだ」
深刻そうな顔になって俺は言う。いや、本当に深刻だと思っているからだ。
「でも、俺は殺す時に抵抗は無いな」
少しだけナイフを握り締めた。これだけは、殺す前にこいつに言わなきゃいけない、そう思い、口を開く。


