華と月

その頃の葵は…

「見たんだよ…蓮の花が、女性の姿に変わるのを…とても美しかった
兄さんが惚れた理由がわかったよ」

「兄さんは言ったんだ
蓮の名前をマシェリって呼んでたんだ」

ライフが放った言葉に反応するかのように、淡いピンク色の光が蓮から発した。

「マシェリ…!!」

ライフは、マシェリの元へと駆け寄った。

葵も続いて、ライフの後を追う。

『その声は、ライフ?』

「マシェリ…どこだ?」
『ワタクシは、ここです』
そういうと、マシェリの身体がうっすらと浮き出た。
薄いピンク色は、マシェリを現しているかのように確かに存在していた。

「あぁ、マシェリ…君は…君は…」

ライフの瞳から、一粒の涙がこぼれ落ちる。

『どうか泣かないで…ライフ、あなたが来てくれて嬉しい…ありがとう』

ライフの瞳から、こぼれた涙をすくうマシェリは、それを口に含んだ。

『美味しい…』

マシェリからもれた言葉を、ライフは聞くと微笑む。

『それに、あなたもありがとう』
とマシェリが葵に向かって言うと、葵は首を横に振った。 

「ごめんよ…本当は、兄さんを来させたかったけど…死んでしまった」

『いいの…ラキアは身体が弱かったから…』
「僕たちはハーフエルフなんだ
双子なのに、兄さんだけ身体が弱くて人間と同じように、年を取ると老けていった…だからいつも間違えられた親子と…」

そう、ライフは独り言のように呟く。
葵は、そんな二人を見て帰ろうとした。

が…

『待って…まだ帰らないで』とマシェリの言葉に、葵は立ち止まる。