華と月

「…さん」

タッタッタッと走ってくる音がする。

だが、その音に男が気付く事はない。

葵は、走って追いかけようとするが男はスッと避け人混みが邪魔をする。

「……さん」

葵は、大きな声でその人物を呼んでみるが
小太鼓の音、周りの雑音でむなしくも届かなかった。

葵が追いかけている人物は、どうやら蓮の花のところに向かっているようだ。

葵は、遠ざかるその人物の背中を見ていた。

「あの方向って…」

その人物が行く方向を、葵も必死でついて行く事にした。