【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!

「へえー、珍しい。木酪君がいるよ。」



香織は呑気な声でそう言うと、ハンディで曲を選び始めた。



木酪泰則(きらく やすのり)…身長は170センチ前後。細長い手足に白い肌、顔がよく分からないくらいに伸びた黒髪の前髪と、小顔に似合わない大きな眼鏡をかけたクラスメイト。



地味…を軽く越えてクラスで一番ダサい男子だ。



おまけに、学力特待生である木酪泰則は特待生の特権をフル活用してて休みがちだ。



そんな木酪泰則がこの場にいるのは、珍しいという他言葉が出ない。