隠し事なんか、出来ないものだと自覚した瞬間。 「花巻さん、ちょっと。」 珍しく学校で、地味山ダサ男のヤスが、私に話し掛けてきた。 香織は私とヤスの兄弟同士が恋人という嘘の設定を信じているから、私がヤスに呼び出されても何も言わない。 ヤスは殆ど使われていない日本史の資料室に私を乱暴に押し入れる。 「………何?」 本当は気づいてる。もう撮影があってから一週間以上経ってるんだから、全部がばれててもおかしくない。