「ふうーん。君が巻田アスナ、ねえ…。」



連れて来られたスタジオで、今回の監督らしき人は開口一番に私をじっとり見ながら言う。



「よろしく、お願いします。」



私は少しだけイラッとしつつ挨拶。すると、その監督は笑い出す。



「いや、悪気はなかったんだ。話には聞いていたが、普段は本当に普通の子なんだな、と思って。」



まあ、言っていることは間違いない。



『巻田アスナ』と私は、同一人物であって、そうじゃない気がするから。