部屋から出て、暗い通路をキョロキョロと見回す。



右に行ったか左に行ったかも分からない。木酪泰則の後にすぐに出たから、そう遠くには行ってない筈だ。



でも姿がないと言うことは、左にある曲がり角を曲がったということだろう。



私は左に曲がり、真っ直ぐ進む。すると、木酪泰則の声が聞こえた。



「…口煩いな。大丈夫だって言ってるじゃん。俺の言葉、信用しないわけ?」



…何かの聞き間違いだろうか。あの木酪泰則が、あんな言葉遣いするわけない。



あんな、傍若無人な、勝ち気な態度を取るわけがない。