「あ、お母さんからだ。僕、ちょっと出るね。」



木酪泰則は足音も立てず電話を持って出て行く。



いなくなった瞬間、クラスメイト達がざわざわと話をし始めた。



「…いやあ、びっくりしたー。木酪君って意外な特技があるんだね。」



「特技ってか、実は本物のきららだったりしてー!」



クラスメイトは有り得ないことを話してはケラケラと笑う。



「凄かったねー木酪君…って、飛鳥?」



「ゴメン、ちょっとトイレ。」



話しかけて来た香織を振り切り、私は立ち上がり部屋を出る。



もちろんトイレじゃない。何となくだけど、木酪泰則が気になった。本当に何となく。