結局、あの後話すことも出来ず、気まずい空気の中、一晩過ごした。 キングサイズのベッドだったから、二人で寝ても互いに触れることもない。 ヤスの過去なんだから、私が気にすることはない。 ……頭では分かっているのに、心がそれを許さない。 どうしてだろう。大嫌いなはずなのに、今、私の頭の中は、ヤスが涙を流さず泣いているあの顔が、占領しきっている。 しきって、いるんだ。どうしようもないくらい。