道場からみんなが引き上げた後、虎太郎は俺の思考を読んだかのように話し出した。


「人間ってもろいな...」

「だな...精神的にも肉体的にも弱い。だから手を貸したくなるだろ?」

「俺が手を貸したくなるのは右京だよ。」

「うぜーな、引っ付くなよ!」


虎太郎がじゃれるように俺に絡み付いてくるのを引き剥がしながら、自宅の居間入ったところで一斉に視線を浴びて固まった。


「...忍ちゃん...あれは浮気じゃないのか?」

「そうだとしたら不潔ね...」

「ウリ坊おせーよ!おせーから忍ちゃんに勉強教えてもらってたぜ!」


勝手に上がりこんで人の家の居間で、しかも人の彼女に勉強みてもらっている陸と寛二を睨みながら「浮気とかねーし」と吐き捨てた。


「お前ら何で居間にいるんだよ。俺の部屋で大人しく待っとけって!」

「夕飯終わったら行くから!」

「勉強会なんて珍しいじゃない。頑張ってね。」


そう言うと忍は夕飯の支度に取り掛かった。


用意しなくていいと言うのに忍はみんなの分まで夕飯を作り、師範が帰ってくるとうるさいくらい賑やかな夕飯が始まった。

それが済むとさっさと俺の部屋にみんなを押し込み勉強を始めた。