座敷わらしの恋

「まぁとにかく、私は今幸せー」


言いながら、紫が回した腕に力を込める。

やれやれ、安い幸せですこと。


「今度さー」


背中で揺られながら、ふと紫が呟いた。


「夏祭りあるでしょー」


言われて思い出す。

そういえばあったっけな、田舎らしさ溢れる小さな夏祭りが。

地元の人達がちょろっと屋台出すだけの、寂しいお祭りだ。

幸い水辺が近くにあるから、かろうじて花火は上がるけど、それも申し訳程度だ。

まぁそれでも、屋台で何かしら食べるっていうそれだけで楽しかったりするんだけど。

実際、子供の頃は屋台で何か食べることが楽しみで楽しみで仕方がなかったことをよく覚えている。

店によって値段が微妙に違っていて、そのわずかな値段の差が結構死活問題だったりして、必死に安い店を探したりしたっけ。

たこ焼きだけはどこも妙に高いんだよな。