「すーいーまーせーんー!」


もう一度、先ほどよりも強く声をかけたのだが、やはり奥から誰もやってこない。

なんつー無用心さだ。

とりあえず先に選んでおいて、また声をかけりゃいいか。

それで駄目なら適当に小銭でも置いて帰ろう。


これまたいつの時代のものだろうと首を傾げるような、両開きの冷蔵庫に手をかける。

中にはよく冷えていそうな、むしろ冷やすのに時間をかけすぎて賞味期限ごと冷え固まっているのではないかと不安になりそうな飲み物が並んでいる。

今時ビンの飲み物が普通に売ってる店なんて貴重だよなぁ。

冷蔵庫の端にはビンの蓋を開けるための栓抜きがくっついている。

すごいなこれ、機能的じゃん。