「……あれ?」


「どうしたの、暑さでボケたの?」


心配そうに言われて、思わず俺も自分の頭を心配する。

いや、あれ、一人だっけ。

だって、他に誰もいないじゃないか。

せいぜい俺が話せるのはこの辺じゃキリ姉だけだし。

って、じゃあなんで俺、りんご飴二つも買ってんだ。


「それ、一人で食べるわけ?」


両手に一本ずつ持った、赤と緑のりんご飴を見て、キリ姉が俺に尋ねてくる。


「……そうなるのかな」


「……ほんとに大丈夫?」


おっかしいな、と呟きながら頭を掻く。