座敷わらしの恋

「でもさ」


ふと、紫が少し固い声で呟く。


「座敷わらしって、ずいぶんと人間に都合のいい妖怪だと思わない?」


あれって妖怪なんだ、と思いながらも、俺は紫の言葉に耳を傾ける。


「育てられないから殺して、それで今度は人間を幸せにする為に生きて。
なんかね、私は、その話を聞くたびに、なんだかなーって思うの。
それって、座敷わらしの幸せはどこにあるの? って」
 


真面目な顔で話す紫に、ちょっと呆気に取られながらも、とりあえず俺は続きを促す。